日本ラバー

世銀で働いていたイギリス人教授の授業(「新興国と国際経済」というタイトル)を受けているのですが、この教授は新興国に目が行って、日本に関心があまりないのか、「原発メーカーのメインプレーヤーはフランスのアレバとアメリカのウェスティンハウス、ロシアのアトムストロイエクスポルト(Atomstroyexport)で、日本のメーカーは参入していたとしても小規模だろう」とか「日本のサービス業は非効率的だというデータがあるが、どうか」などと言っているので、これは真実を伝えないとと思い、やんわり反論しております(表だって反論するのは教授のメンツをつぶしかねないので、メールでこっそり、事実とともに★)。こういうとき、私って日本を愛しているのねぇと実感します。

以下、教授へのメール内容を抜粋♪

===ここから

○原発プラントメーカー
メジャー3社で、3社ともに日本の原発メーカーが関わっています(ジョイントベンチャーや買収などで)。
3社は、

  • アレバ(AREVA。フランス)とATMEA (アレバと三菱のジョイントベンチャー)
  • 東芝ーウェスティンハウス(アメリカ。ウェスティンハウスは東芝に売られたが名前は残っている)
  • GE(アメリカ)と日立。


写真はアレバ元CEOのアンヌ・ロベルジョン氏。Photo by WSJ

他にもメーカーはありますが、上記3社に比べると規模は小さいです(今のところ)。
他の原発プラントメーカー;
Atomstroyexport (ロシア), Candu Energy (カナダ), Korea Electric Power Co.(韓国)など

===ここまで


○日本のサービス業の効率性
これについては、OECDなどのデータを見ると、日本のサービス業は非効率、と書かれていて、それだけを見るとなんとも言えないのだけど(そして外資がもっと入ってきて、もっと競争してくれたらいいと個人的には思っているけれど)、必ずしも非効率的だと言えないのではないか、と以下のように説明しました(メールで)。

===ここから

1.需要サイド
 日本人はオーバークオリティ(丁寧すぎるサービスの質)に慣れているにもかかわらず、サービスに対しては高いお金を払わない傾向がある(モノに比べて)。サービスはタダだという感覚があるからだろうか。丁寧なサービスの質を当たり前だと捉えている節があります。

2.供給サイド
①(OECDかどこかのデータが、時間あたりのお金かなにかで測られているように記憶していたので)、日本ではサービス業のお店の開店時間は長い(ヨーロッパに比べたら。24時間開いているコンビニも数が多いし、平日だけではなく休日も開店している)。→一定時間あたりの処理件数、稼ぐお金は低くなる?
②日本の労働市場は規制や言語により守られている
・日本にはわずか2%の外国人しかいない(イギリスは10%以上)
・日本で働くには日本語を相当話せないといけないし(お客様対応のサービス業は特に)
・理髪店などで働くにはそのための学校(2−3年)に通い、国家試験に通る必要があり、外国人が働くには高い壁(対照的に、アメリカでは、理容師になるための国家試験はなく、本人が「できる!」と思ったら理髪店で働ける、と聞いたことがあります)

ちなみに日本の理髪店の腕はいいです。髪を整える技術が優れているだけではなく、濡れタオルを顔に置き、鼻毛を切り、剃刀できれいにひげを剃り、肩や腕をマッサージしてくれます。こんな高い質のサービスを提供してもらい、客が払うのは3667円(大人平均)。

もしOECDがサービス業の効率性を測る際に、(日本のような)高い質を基準として料金や時間などを国際比較したら、日本は効率的だと言えるのではないか(単に「髪を切る」という項目だと、日本は時間もお金もかかっているように見えるのではないか)?髪切り(技術も日本の方が丁寧だと思うけど)、ひげ剃り、マッサージなどをプラスしたもので料金比較したら日本は高い&時間がかかっているとは思えないんだけどなぁ(アメリカ、スペインで暮らした経験から)。

ところで、日本には上記のような過剰なほどの?高い質を提供する理髪店だけではなく、10分1000円の理髪店もあります。

===ここまで

ちなみにアメリカで髪を切った際、洗っている途中はシャンプーが顔にいっぱいつき(ごしごし力強く洗ってくださいます(笑)。顔にタオルなどをかけることはありません。気になる人は自己防衛策を講じましょう)、シャンプー台で頭をぐるぐる回され、まるでモップの先になったような経験をしたこと、(私はどこでもあまり過剰な期待をしないので)洗われながら「日本と違っておもしろいな〜」と笑ってしまったことは教授へのメールには書きませんでした。