二度目からがますますおもしろい場所

ロンドンを旅行するのは今回が二度目ですが、「ロンドンは何度行っても楽しいところ」といわれているのがわかる気がしました。一度目は、観光バスに乗って代表的な観光名所・建造物(ロンドンブリッジなど)を見たり、美術館に行ったりしたので、今回は建造物めぐりはパスし、美術館で好きな作品だけを見たり、おもしろそうなお店に入ったり、おいしそうなものを食べたり、地元の人が集まるコンサートに行ったり、知り合いや同じホステルの人たちと話しをしたりと、一回目とは違う楽しみ方をしています。ロンドンは大都市で、いろんな人が集まっているので、お店も芸術もバラエティ豊富だし、住民の需要に応えたモノ・サービスを提供していて、何度来ても「新しい何か」が見つけられる気がします。個人的には、町中どこでも寿司(サーモンが主ですが)や健康的な食事(サラダバーなど)が提供されていることに驚き、うらやましくも感じます(個人経営のお店はもちろん、EAT、Wasabi、Itsu、Simplyなどの健康志向カフェのチェーン店も豊富)。マドリッド・ボストンと比べて圧倒的に健康志向のレストラン・カフェが多いと感じました。健康・美容に敏感な人がロンドンには多いのかな。

欧州の街の多くが、昔の歴史的な遺産に観光を頼っているように見えるなかで(スペイン経済の主要けん引役は観光業であることと比べると)、ロンドンは世界中から人が集まり、彼らが経済を支えていて、「今も生きている」「日々動いている」街だと感じます。ロンドンは町並みももちろん美しいし、観光客向けの案内・サービスも発達しているけれど、住民のためのモノ・サービス提供(カフェ・ショー・コンサートなど)が、結果として二度目以降の観光客にも魅力的に映っていると思います。一週間いれば十分、な場所ではなく、今も生きているロンドンのような街に、多くの人は住みたいと思うのではないかしら。

観光の目的として、自然(景観、山、海、川、氷河、オーロラ)・動物・スポーツ、町並み・歴史的名所(遺跡・教会など)、芸術(絵画・音楽・ダンス)、現代芸術(ブロードウェーやコンテンポラリーのショー・ダンスなど)、食、街ゆく人の風貌・ファッション観察、言語習得などが挙げられると思います。(巡礼などもありますが、宗教的な意味合いの旅行は日本人は少なさそう)

大学生のころ、欧州をまとめて旅行したときに、最初は感動した古い町並み・教会が、旅行の最後の方では似たような景色をどこかで見たなぁと新鮮味がなくなっていたことを思い出すと、古い町並み・建造物や自然だけでは二度目以降の観光客を引き付けることはできないと感じます(夏と冬で楽しめる自然・スポーツが違う場合など季節的なアトラクションが有名な場合には再訪はあり得ますが)。これはクリスチャンでも同じようで、欧州を回ったクリスチャンの観光客は最後の方は「もう教会はお腹いっぱい。ほかのものを見たい」といっていたりします。(そのため、長期旅行する人は、似たような国ではなく違うカラーの国をうまく組み合わせた方が旅行を楽しめると思います。私は今回はロンドンの前に、アイスランド(自然(火山・温泉・オーロラ・氷河)・新しくてかわいい町並み)、アフリカ(自然・動物・不便さ(笑))、マドリッド(古い建造物・芸術・食)と異なるアトラクションを持つ場所を転々としたので、それぞれの場所が新鮮に感じられます。)

日本は古い遺産と自然だけに頼っていないという意味で、日本も外国人から見たらおもしろい場所だと思います。長い歴史に裏付けられた「古きよき美しさ」は京都・奈良を中心に楽しむことができ、東京は現代芸術や混沌(ごちゃごちゃした感じ、人がいっぱいいるところ)、街ごとの違いを楽しむことができると思います(秋葉原、渋谷、青山、六本木、皇居周辺などそれぞれにカラーがある)。自然・温泉やスポーツ(スキー・スキューバなど)を楽しみたければ、地方(北海道・沖縄・九州など)に。古さと新しさが一つの都市で共存しているロンドンと比べると、日本はいくつかの都市を旅行してもらわないとよさがわからないかもしれないという難点はありますが、近隣アジアからの観光客を除き、遠くからはるばる来る(特に西欧の)人たちは「遠くまで来たからには複数都市を訪れよう」というインセンティブが働くような気がするので難点にあたるかはわからないけれど。

そして、日本は食べ物・文学・美術など文化の輸出にも成功していて、「日本ってどんな国だろう」と外国人が日本に興味を持つきっかけづくりに貢献していると思います(本屋のベストセラーを見ると、現在トップ10に入っているアジアの国の作品は日本だけだし(村上春樹の「1Q84」です。現時点で純粋に文学を翻訳して輸出しているのはこれだけかも。中国・インド系アメリカ人などアメリカで育ったアジア系の作品はよく見ますが)、美術館内のお店で画家ごとの冊子を見てみると、西洋画家以外では北斎Hokusaiだけが個別冊子になっていたし、好き嫌いはあれど村上隆・北野武の名前は知られていて、アニメ・コミックやサンリオのキャラクターも普及しているし。(私が日本人なので海外でも日本っぽいものに目が行きやすいだけかもしれませんが)


「一見さん」だけが集まる国ではなく、観光客やビジネスマンが「また来たい・住みたい」と思ってくれる国でいてほしい、「昔栄えていた国」ではなく「今も生きている・動いている魅力的な国」であってほしいと異国の地で日本を思い出したのでした。