歌から見る国民性

実家は群馬からの赤城おろし(北風)が吹き下ろす風通しのいい家。暖房を入れることはあまりなかったので、実家は屋内でも息が白かった記憶が。

どのくらい実家(熊谷市別府)が寒いかを示すために、中学校の校歌歌詞を紹介。短い歌詞の中にも、日本人の戦前から高度成長期まで*1の精神性、美徳、ありたい姿(忍耐・勤勉)が表わされている気がします。

赤城おろしを 耐え忍び 沼の泉に みそぎして
鍛えしこの身 この心 うぶすなびと(産土人)の 誇りなり
ああ母校 別府中学校


赤城山。小さい頃、毎日山を見ながら通学していたからか、今でも山を見ると懐かしい気持ちになります。


アメリカの公立小中学校では一般的には校歌がないらしいですが、「国歌」を歌う場面はよくあります(スポーツゲームの開始時とか)。「星条旗(国歌)」の歌詞を見ると、「勇者が血を流し犠牲を払った激しい戦いで勝ち得た自由・平和(と神のご加護)」を讃えていて、アメリカの価値観・大事にしているものなどが垣間見えます。日本だったら軍歌に分類されるような勇ましい内容の歌詞です。歌詞に「ロケット」などが出てきて、「何ですと?」とびっくりした記憶があります。(ここでいうロケットは砲弾の意)

1.
おお、見えるだろうか、
夜明けの薄明かりの中
我々は誇り高く声高に叫ぶ
危難の中、城壁の上に
雄々しくひるがえる
太き縞に輝く星々を我々は目にした

砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中
我等の旗は夜通し翻っていた
ああ、星条旗はまだたなびいているか
自由の地 勇者の故郷の上に

2.
濃い霧の岸辺にかすかに見える
恐れおののき息をひそめる敵の軍勢が
切り立つ崖の向こうで
気まぐれに吹く微風に見え隠れする

朝日を受け栄光に満ちて輝きはためく
星条旗よ、長きに渡り翻らん
自由の地 勇者の故郷の上に

3.
戦争による破壊と混乱を
自慢げに断言した奴等は何処へ
家も国もこれ以上我々を見捨てはしない
彼等の邪悪な足跡は
彼等自らの血であがなわれたのだ

敗走の恐怖と死の闇の前では
どんな慰めも傭兵や奴隷達の救いたりえず
勝利の歓喜の中、星条旗は翻る
自由の地 勇者の故郷の上に

4.
愛する者を戦争の荒廃から
絶えず守り続ける国民であれ
天に救われた土地が
勝利と平和で祝福されんことを願わん
国家を創造し守りたもうた力を讃えよ

肝に銘せよ 我々の大義とモットーは
「我等の信頼は神の中に有る」ということを
勝利の歓喜の中、星条旗は翻る
自由の地 勇者の故郷の上に

歌詞の出典:http://stimaro.blog35.fc2.com/blog-entry-1.html


日本の国歌は、天皇・国民・国の世が長くずっと続きますように、と静かに平和を願う歌だと感じます。自然を引き合いに出して、苔が生すまで・・・と歌うあたり、温厚だなぁとも(アメリカの国家のように「自由を戦いによって獲得した!神は我々に味方した!」というニュアンスは感じられません。日本はどこかの国から独立した、という歴史ではないものね)。wikiを見ると、歌詞は『古今和歌集』(読人しらず)の
わが君は 千代にやちよに さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで
から来ているようです。「あなたにはずっとずっと長生きしてほしい*2」という愛する人の幸せ・健康を願う深い愛情が感じられます。


国歌や校歌の歌詞から、歴史などに裏付けされた国民性が垣間見える気がします。


ちなみにスペイン国歌「国王行進曲」には歌詞がありません。歌詞をつけようという動きもありますが、独自の「国歌」を持つカタルーニャ地方などから反発を受けていて実現していないようです。候補になった歌詞の出だし「ビバ・エスパーニャ」(スペイン万歳)という言葉は、フランコ独裁政権を称えるかけ声だったとして、独裁者圧政の時代を思い起こさせるという理由もあります(カタルーニャは独裁者フランコ圧政に苦しんだ地方)。時々、スペインサッカー選手は国歌斉唱を拒否、との報道がありますが、そもそも歌詞がないものは歌えないよねぇ(苦笑)。

*1:高度成長期まで、と書いたのは、その後価値観が変わってきたと感じているからです。豊かになり、勤勉さよりも他のことなどを重要視するようになったのではと

*2:話は変わりますが、この歌でも「続いてほしい」という趣旨の動詞が省略されていて、日本語ってハイコンテクストだなと実感。さらに、私は受容性の高い&(拙い子供の話も)理解をしようと努める母のもとで育ったこともあってか?、他人・ローコンテクスト文化出身者への説明が不慣れです^^;わかりやすく説明できるように日々練習中です♪